独立して営業をするかしないか

営業が嫌い、という人によく会う。

営業という職種に就いている人が嫌いというわけではなく、自分が営業行為をするのが嫌い、したくない、と言っているわけだ。

個人的には、技術力がなくても営業力があればなんとかなると思うし、その逆は破滅的だと思うので、営業行為に苦手意識を持つべきではないと思う。

むしろ、短いながらもこれまで独立して事業をやってきた中で言えることは、「積極的に営業できるようになりたい」と、自分の成長を営業スキルにシフトできる人間でなければ、継続的なビジネスの発展は難しいだろうということだ。

 

色々な人のやり方を勉強する目的で、様々なメールマガジンやブログを読んでいるが、ビジネス系、起業系記事の中で一定数の割合を占めているのが、営業しなくてもいいよ系メルマガだ。

営業しなくてもお客様と契約出来る方法、というような夢のような話は、やはりある程度のニーズがあるようで、どれもそこそこの人気を集めているようだ。

 

内容は千差万別で、「営業」という行為の範囲を再定義しようとしているものから、ホームページ作ってSEO対策をやれば完璧というような、極めて乱暴なものまで幅広い。

確かに業種や職種によっては、ホームページを作るだけで営業行為が完了するようなものもあるかもしれないが、それでは老舗にほとんどの顧客を持って行かれたまま、マーケットを切り崩すことはできないだろう。

 

仮に始めようとしているビジネスが極めて新規性の高いもので、他の誰も真似できないような超特殊なスキルを要するものだったとしたらどうか。他者が追随することはほぼ不可能に近く、それを行えるのは自分しかいないとしたらどうだろうか。

それでもなお営業は重要だ。
知ってもらって、ほしいと思ってもらって、買ってもらって、長く使って(親しんで)もらうには、買う人の心を動かさなければならないし、買ってもらった後もなお、使ってくれる人の心を動かし続けなければならないからだ。

 

営業行為が嫌いだという人の中には、営業行為を難しく考えすぎている人が多いように感じる。

営業行為とは、平たく言えば、自分の特技(特技を駆使して作ったもの)をお金を出してでもほしいと思ってもらえるようにする行為だ。

だから、友達や家族に自分の仕事のことを説明する行為も立派な営業行為だ。たまたま紹介してもらった初対面の方に、自分の情熱を語ることも立派な営業行為だ。

自分の特技を知ってもらって、いいなと思ってもらって、それに対してお金を払いたいなと思ってくれる人を探す事に通じる行為はすべて営業行為なのだ。

 

自分がやりたいことや、好きなこと、目指していることの話をしているときは、誰しも楽しいものだ。それを人に話すのがつまらなかったり、嫌いだったりするということは、それは自分が目指しているものではないのではないか。

例えば自分がボールペンを売っているとして、ボールペンに一切の興味がないとすると(私は文房具が大好きだが)、きっとニコニコとボールペンの素晴らしさについて語ることはできない。なぜなら、ボールペンに興味がないから、ボールペンの話をふくらませることができないからだ。

一方で、私は文房具が大好きなので、全く販売したことがないけれど、文房具販売の営業ができると思う。本職の人と同じくらい売れる自信はないし、実際できないだろうけれど、自分が好きで使っている文房具の良さなんて、いくらでも語ることができる。オファーさえあればやってみたいと思う。

 

営業行為を好きになるには、好きなものを売るか、売っているものを好きになるしかない。売っているものを好きになれないのであれば、自分が好きなものを売るしかない。

もし起業して、営業行為をせずに成功しようとしているのであれば、そんな日が訪れることは果てしなく遠いと思う。
営業行為を全くせずに成功出来る方法が本当にあるとしたら、営業行為をせずに成功できる方法を駆使しつつ、営業行為をする人はどうなるのか。より成功するのか。営業行為をしなくても成功できるんだけど、したほうがより成功できるのか。極めて定性的で、わけがわからなくなってきたではないか。

 

営業行為が嫌いなら、営業行為を好きに変える事が出来る人がうまくいくんではないかと、実体験からわかってきた。営業行為をせずに成功する方法を探しているのであれば、できるだけ早めに探すのをやめたほうがいいと思う。その時間を使って営業が得意になる努力をするほうが、きっと成功率は高まるからだ。

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