羽生善治著 大局観読了

決断力を通読からの大局観通読で、羽生さんの思考プロセスを学ぶことができました。

本書の中で、リスクを取らないことは最大のリスクであり、リスクを最小化するにはリスクを取り続けることが重要であると、はっきりと述べています。

「リスク」という言葉は便利なので、我々は何でもかんでも「リスク」という言葉に置き換えてしまいがちです。本来、「リスク」に分類されるべきでない事象であっても、それを「リスク」であると都合よく解釈して、その行動を取らないことによって自分が何か得をしたかのように考えがちです。

私は、行動しなかったこと、というのは何かを選択したわけではなく、決断を避けたことになると思っています。現状維持というのは選択ではなく、変化を避けたことになると思います。変化を避けて現状維持をしたとしても、確実に時間は過ぎていくし、老いていきます。

老いていくということは、厳密にいうと現状維持ではありません。長い目で見ると、現状と同様のタスクは同じ時間ではこなせなくなっていくので、ジリ貧になっていくしかないということになります。つまり、選択しないということは、選択するということよりもはるかに大きな「リスク」であるということになります。

また、羽生さんはこうも言っています。

一つ選択を誤り、失敗したところで、取り返せないほどの大きなマイナスになることはなく、一つ正しい選択をしたところで、大躍進するほどの大きなプラスになることはない。

選択は選択でしかなく、マイナスを積み上げ続けなければ、いつだって取り返せるということだと思います。

リスクを取り続ける、今できる最善のことをやり続ける、そうすることによって、自分を取り巻く世界はどんどん好転していくと思います。短期的に見れば、年収が下がったり、貯金を少し失ったりすることもあるかもしれませんが、最も効率のいい投資は自分への投資です。

人生は楽しく生きなければ何十年もの損失です。いやだと思いながら過ごすことも、自分の人生を無駄にするリスクを取り続けていることになります。

大局観の最後の4行には、羽生さんの人生に対する大局観が綴られています。この4行は、今まで読んだどの本よりも素晴らしいラストでした。

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